南トスカーナの森林に広がる敷地には、人と自然がサステナブルに共存し続けてきた2つの家族の伝統と物語、その中心に「ワイン造り」があります。
90haにも及ぶ大きな敷地のほとんどは森林。そんな恵まれたトスカーナの自然の中に、1929年より3代に渡りブドウを栽培するマンヌッチ・ドロアンディがあります。このワイナリーは、ヴァルダルノの小地主であったマンヌッチ家と、18世紀にカルミニャーノとサン・ジュスティーノ・ヴァルダルノの農家であったドロアンディ家の2つの家族がスタートしたものです。
ワイナリーの位置は、トスカーナ州アレッツォ県モンテヴァルキ村のすぐ近く。フィレンツェ、シエナ、アレッツォの3つの大都市の丁度真ん中にあり、トスカーナの内陸に位置します。
二つの家族の名前はそのままワイナリーの名前にも由来しています。現在もそれぞれの家族が継承し、それぞれの家族よりマリア・グラツィア・マンヌッチが総管理者を、そしてロベルト・ジュリオ・ドロアンディが、ブドウの栽培から醸造までの責任者を務めています。
こうした試みの理由を尋ねたところ、「そうしないと、どのワインも同じ味になってしまうよね?僕らの畑だけが生み出す味わいを作って、唯一無二のワインを作りたい。だからずっと前からそうしてるんだよ。」と言うロベルト。環境保護、気候変動の緩和に貢献すると同時に、先代が築いてきたものを最良の方法で継続していくために、地域の伝統と革新性を融合させた、領土のアイデンティティを表現できるワインを産み出す。その方針を20年前から貫いているのです。
また90年代始めに彼らの畑の中で見つかった、当時名前も分からなかった土着新種の保護プロジェクトが立ち上がり、アレッツォのブドウ栽培研究ユニットの協力の元、かつてこの地域に広く普及していたが現在は絶滅の危機に瀕している古いブドウの木を保存するための実験的なブドウ畑もあります。ここではフォッリア・トンダ、バルサリーナ、プニテッロなどの興味深いブドウの木が再生産され、それぞれの品種100%で造るワインも彼らならではです。
ロベルトに地元の料理の話を聞くともう止まりません。次から次へと料理名と詳しい作り方の説明が始まります。この辺りはお肉料理が豊富で、長時間煮込んだレシピがあります。ロベルトの奥さんも、そうした郷土料理が得意で日常的に食すのだとか。初代は、ブドウ畑だけのみならず、野菜や麦、オリーブなど、どんなものも自分たちで栽培していたそう。
今でも自分達用の麦畑は健在で、自家製古代麦でパンを作るのが日常。豊かな食生活をしている生産者だからこそ、美味しいワインが生まれるという訳です。
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